2022.3.29「#KuToo本」著作権裁判全面勝訴の判決を受けて

書籍『#KuToo: 靴から考える本気のフェミニズム』にツイートを掲載されたことで、著作権と名誉感情を侵害されたとして、あるツイッターユーザーが、私石川と出版社「現代書館」を相手取り、損害賠償などをもとめた訴訟です。

控訴審判決が本日3月29日、知財高裁でありました。請求を棄却した1審判決を不服とした原告側の控訴を棄却する判決が言い渡されました。

昨年5月の東京地裁の判決についてはこちらから。


第1回  ネットリテラシーの罠
第2回 この裁判自体が性差別への抗議に対するバックラッシュ
第3回 へんてこりんな日本語読解が認められるかが実質的な争点だったこと
第4回 謎の「クソリプ定義論」
第5回 女性差別を理解しない限りバックラッシュは続く

今回、判決を聞いた後の記者会見でお話したことをここに記しておきます。

判決後の記者会見でお話したこと

私の初めての著書「#KuToo:靴から考える本気のフェミニズム」が発売された2019年11月から今日まで、この本についてネット上の様々なところで「捏造」「著作権侵害」という言葉を目にしてきました。
本を書いた自分ですら、「この本は著作権を侵害しているのではないか」「わたしは捏造をしてしまったのではないか」という気持ちに洗脳されそうになるくらい、本当に何回も何回も、長期にわたって目にしてきました。
私ですらそうなので、何も知らない人たちは一体この本と私にどんな印象を持ったのでしょうか。

ネットで、特にTwitter上で人の印象を作るのはとても簡単です。法律や性差別についての知識もない人が、時には法律の専門家までも自分の思い込みによって好き放題つぶやいた言葉が拡散され、まるで事実かのように印象は作られていきます。
そのツイートに何千何万の「いいね!」がついているのを目にした時の絶望感は、なかなか多くの人には伝わらないんだろうなと先日の伊藤詩織さんの判決を見ていても感じています。

Twitter上でデマを流されることや、嫌がらせ、セカンドレイプに対して、Twitter上で声をあげてきました。
その度に、「あまり感情を出しすぎない方がいい」「もっと共感を得られるようなやり方でした方がいい」「見なければいい」「気にしなければいい」と言われ続けてきました。何千回と言われたと思います。
しかし、その人たちの言う通り、気にせずに感情を出さずに見ないという選択をしていたら、きっと今頃この本は著作権侵害をしているということに、私は違法行為をした人間だということに、世間一般人たちの印象ではなっていたかもしれません。

その結果人々は、私が何か発言するたびに「この人は発言も捏造しているのではないか」「また何か卑怯な手を使っているのではないか」という思い込みの元に私を見て、評価するのではないでしょうか。
実際、私の元に「いったい誰の話をしているのだろうか?」という、事実に基づかない思い込みによる「批判」や悪口が多数寄せられました。
そうやって女性差別に抗議する人間の発言を無効化することこそ、無意識か意識的かはわかりませんが、この人たちの目的なのではないでしょうか。

また、そのような印象操作にのってしまうのは、選挙に行かない無関心層の人たちだったりします。全てのやりとりを追えない人たちは、わかりやすい情報や多く見た情報を信じてしまうのではないでしょうか。

どうか、誰かを批判したい時は、それが事実に基づいているのか確認をまずしてください。
事実に基づかない批判は、誹謗中傷です。
また、自分の中にある「印象」は一体誰がどのように作ろうとしているのか、ぜひ考えてみてほしいです。自分の目で目にして、耳にしてからその人の評価をしてほしいと思います。

昨年の5月に地裁の判決が出た時も、新たなデマがたくさん回りました。判決文を読んでいない人が、好き放題自分たちの思いたいようにこの裁判の判決についてのデマを広めました。

Twitter社や多くのプラットフォームは、このようなことを放置しないでほしいです。他人についてのデマを拡散し、それがそのままであることを許すのはおかしいと思います。意見の違いなどではありません。私が話しているのは、事実と事実でないことの話であって、意見とは違い事実は一つしかないはずです。

また、この裁判で忘れないでほしいのは、法律や性差別への知識がない匿名の大勢のアカウントだけでなく、弁護士として実名で「著作権法違反だ」と主張してきた吉峯耕平弁護士、「名誉棄損だ」と主張してきた小倉秀夫弁護士の存在です。
彼らの主張は一審、二審と盛り込まれましたが、見ての通り完全に棄却されました。

弁護士が言っているのだからそうなのだろう、と信じた人はどれくらいいたのでしょうか。
その信じてしまった人たちは、今日の判決文をきちんと読んでくれるのでしょうか。
彼らによって傷つけられた私の名誉は、誰が回復してくれるのでしょうか。彼らは好き放題発言しておいて、何の責任も取らなくて良いのでしょうか、疑問に思います。

前回も今回も「完全勝訴」ではありますが、問題のない本を問題であるかのようにされ、訴訟を起こされ、弁護士費用もかかり、こちらは訴えを退けたと言うだけであって、プラスになるものはひとつもありません。
「おめでとう」と祝うような裁判ではないんです。
もちろん費用的にはマイナスです。本についても、レビュー欄にたくさんのデマが書かれ、売り上げがどこまで正当なものなのかすでに判断がつきません。

今後はもうこのようなおかしな裁判が起こらないよう、なぜこの裁判が起こったのかをまた改めて皆さんで考えてもらいたいです。

前回の判決の時にも言いましたが、はるかちゃん氏は#KuTooについて自由にTwitterに思うことを書いていいのに、私がはるかちゃん氏について私の思ったことを自由に書くことは許されないなんておかしいと思います。

#KuTooが女性差別の運動だと彼らや多くの人が理解できていたら、はるかちゃん氏も#KuTooについて無知な発言はしなかっただろうし、私もはるかちゃん氏の発言に抗議する必要もありませんでしたし、このようなデマが広められることも、裁判が起こることもなかったと思います。

本が発売された日から今日の裁判の結果が出るまで、根底にミソジニー・女性蔑視がなかったのか、どうか皆さんにはしっかりとこの問題を認識してもらい、個人の問題と矮小化しないでほしいと思います。

2022.3.29 石川優実

※Amazonのレビューでは何十件も「著作権法に違反している」「捏造だ」という強い言葉でデマを書かれました。
このレビューを見て、本の購入をやめた人がいるのではないかと、とても悲しくなります。
とても良い本です。よかったらご購入、お友だちにプレゼントなどいかがですか?
本の購入でサポートしていただけるととても嬉しいです。
よろしくお願いいたします。

2022.3.29「#KuToo本」著作権裁判全面勝訴の判決を受けて” に対して1件のコメントがあります。

  1. いとう より:

    「KuToo」はコロナ禍で時間ができた1年少し前に初めて読みました。運動があることは知っていましたが、職場のパンプス問題が単なる労働環境の問題ではなく、ジェンダーの問題だということを実感しました。これだけ女性蔑視が根付いているのだと突き付けられました。私はSNSをほとんど使ったことがなかったので、ネット上の誹謗中傷の現実もこの本で知りました。今の社会を記録する名著だと思います。「クソリプ」への石川さんの反論もさえていて、ファンになりました。自分もおかしいことには声を上げようと思いました。
    Amazonのレビュー欄は無法地帯になっていてとても嫌な気持ちになりました。きちんと読んだと思われる方はとてもよいレビューを書かれています。それなのに、明らかに内容と異なる嫌がらせのレビューが前面にでてしまう。Amazonにはコミュニティーガイドラインに反していると、削除を求めました。どのレビューかわからないと言われたので大量のレビューをコピペしてメールで送ったのですが、全く改善されず(削除されたものもあったかもしれないですが)がっかりしました。こういうことの繰り返しなのでしょうね。本を買えば応援できるのですね。書店に申し込みます!

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