2021年5月26日の記者会見でお話したこと

2021年5月26日、私の出版した「#KuToo:靴から考える本気のフェミニズム」の出版差し止めを求めて行われていた裁判の判決が出ました。
判決では、原告の請求はすべて却下されました。(原告は控訴したようです。)

判決文はこちらから。

その裁判ではいったい何が起きていたのか、記事にまとめています。

第1回 ネットリテラシーの罠

第2回 この裁判自体が性差別への抗議に対するバックラッシュ

第3回 へんてこりんな日本語読解が認められるかが実質的な争点だったこと

第4回 謎の「クソリプ定義論」

第5回 女性差別を理解しない限りバックラッシュは続く #KuToo裁判では何が起きていたのか

<関連ニュースはこちら>

#KuToo ツイート引用の著作権訴訟、出版差し止め及び賠償請求退ける【東京地裁】(BusinessInsiderJapan)

「#KuToo」の石川優実さん勝訴。書籍でのツイート掲載めぐる訴訟、争点と裁判所の判断は?(HUFFPOST)

石川優実さん勝訴、本で紹介した「#KuToo」批判ツイートは「著作権侵害」にあたらず(弁護士ドットコムニュース)

当日行った記者会見でお話した内容をこちらのブログにも掲載しておきます。

5月26日記者会見でお話したこと

私は2019年2月から、#KuTooという職場で女性のみにヒールやパンプスを義務付けることへ反対する署名運動を始めました。この運動は、労働問題であり健康の問題であり、マナーの問題でもあり、女性差別の問題でもあります。仕事中、職場で、労働をする際に女性のみヒールのある靴を履かなければいけない。TPOが男女で違うことに抗議する運動です

同じ職場で男性のみヒールを義務付けられていたら、と考えたらそのおかしさに気づくことができると思います。

しかし、私がこの問題を労働・健康・マナーだけの問題ではなく「女性差別」の問題でもあると発信し始めて、SNS上でたくさんの誹謗中傷やデマを流す行為、つきまとい行為、私や#KuToo運動に関して根拠のないことを言いふらす行為などが行われるようになりました。

一見「真っ当な批判」に見えるものも多いと思います。
例えば、私は当時葬儀の仕事をしていましたが、「葬儀の仕事にスニーカーで行きたいなんて非常識だ」というものは、丁寧な言葉だし一見普通の批判です。
しかし、私は一度だって「スニーカーで葬儀の仕事に行きたい」なんて言ったことはないのです。
男性と同じようにフラットな革靴で働きたい、と言っただけなのです。
しかし私がこれに反論しなければ、ネット上では「石川は葬儀の仕事にスニーカーで行きたいといった非常識な女」として印象操作がされ続けるでしょう。

SNSで、そのようなものが事実かの様に広がっていくこと、そして女性差別があるというだけでこんなにもすさまじいバッシングを受けるんだという事実を多くの人に知ってもらうために、私はそれらのツイートを引用して書籍にまとめました。

すると、それに対してまた大きなバッシングがおきました。判決の通り、この本は何の問題もない正式に著作権法に従い作られたものですが、弁護士がTwitter上で「違反している」と拡散し、多くの人が「石川は悪いことをしたんだ」と信じました。
そして何も問題がないにもかかわらず、このように裁判まで起こされてしまいました。

今回はこうやって裁判になって多くの人に存在を知ってもらえたのでまだよかったかもしれませんが、この二年間私はずっと継続的にこのような被害を受け続けてきました。

毎日毎日自分の言った言葉を曲解され、拡散され、「お前は馬鹿だ」「頭が悪い女がずっと喚いている」と大量のアカウントから言われ続けてきました。私は過去に許可のしていないグラビアのDVDが発売されるという性被害を受けていますが、見たくない当時の画像を送りつけられます。「過去の被害の画像は見たくない」と訴えると、私が何に傷つくのか知った人から更に送りつけられました。こういった中で、私が自分のことを信じて運動を続けることは本当に難しいことでした。

SNSなんてやめればいい、見なければいい、という人もいるかもしれません。
ですが、今の社会においてインターネットは無くてはならないもののはずです。
Twitterがなければ#KuTooの運動は始まりませんでした。女性活動家がSNSから消えれば、女性差別運動も広がりは見せないでしょう。

それが誹謗中傷をする人たちの目的でもあると思います。私はそれに従うつもりはありません。
セクハラや性暴力・様々なハラスメントと同じように、被害者ではなく嫌がらせをやめられない加害者に目をむけるべきです。
SNSを去るのは私ではなく、嫌がらせをしてくる人のはずです。

ブロックすればいい、と思われるかもしれません。しかし、私は既に1000件以上のアカウントをブロックしています。
今日も私のTwitterアカウントには2021年5月に作成されたアカウントから1日に何十件もリプライをし続ける付きまといに遭っています。

この嫌がらせを止めるには、私が死ぬしか方法はないんじゃないかと考えることもあります。
しかしそれを言うと、「死ぬ勇気もないくせに」と更につきまとわれることになります。
誹謗中傷はやめてくれというと、「真っ当な批判を誹謗中傷を言うな!」というリプライがたくさん飛んできます。
真っ当な批判かどうかをその人たちが判断し、大量に送り続けられます。

SNSで私や多くのフェミニスト・女性運動をしている人が強い言葉で怒っているところを見たことのある全ての皆様。
どうか、その前に一体どんなことが起きていたのか、まで知ってください。

私は毎日このようなことを2年間受け続けている今、冷静に優しい言葉で怒らずにみんなの共感を得られるようなやり方で、なんてことはとてもじゃないけれどできません。それに、私がここまで怒らなければ皆さんの目にも耳にも入らないと思います。

そしてこれは、私だけの問題ではありません。これまで沢山の声を上げた女性たちが、こうやってSNSから排除されてきました。アカウントを消した女性をたくさん見てきました。

どんな人でも根拠のないデマを流されたり、決めつけで批判をされたり、つきまといにあうことなく、自由に安心して自分の意見の言えるSNS環境を作りたいと思っています。そのために、今後沢山の方たちと連帯して声をあげて行きたいと考えています。

2021年5月26日

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